社労士の年収について現実と実態を詳しく知りたい。
平均値と中央値、勤務社労士と開業社労士、男性と女性、いろいろな角度から客観的に本音で比較検証したい。
この記事ではそんな要望にお応えします。
社会保険労務士の年収を客観的に知るために、各種機関の調査結果をベースに実態調査を実施します。社労士資格保有者の方、社労士資格試験を目指している方の参考に社会保険労務士て頂ければと思います。
❶ 厚生労働省の賃金構造基本統計調査
〜勤務社労士の年齢別、男性・女性別の平均値と中央値を知る
❷ 全国社会保険労務士会連合会の調査
〜社労士連合会に登録社労士の平均年収を知る
❸ 十士業における比較ランキング
〜十士業における社労士年収の水準を知る
❹ 日本学術振興会科学研究費助成事業の研究データ
〜開業社労士と勤務社労士の年収の現実を知る
まずは社労士年収の現実的な実態として客観的に平均と中央値を探ります。社労士の年収に関する情報は実は各機関やネット上に分散して存在しているので、ここではそれらをまとめて検証します。
❶ 厚生労働省の賃金構造基本統計調査
勤務社労士の年齢別、男性・女性別の平均値と中央値を知る
まずは年収を知るうえで代表的な統計調査データから社労士年収の実態を探ります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査による社労士年収
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」は、産業別・男女別に給与を始め労働に関する調査データです。このデータによると、雇用されている社会保険労務士、つまり勤務社労士の給与は、男性平均が月36.1万円、女性平均が月28.6万円となっています。また賞与に関しては、男性は年間80.5万円、女性は年間90.5万円。
ここから単純計算すると年収の目安として、男性の勤務社労士は年収514万円、女性の勤務社労士は年収434万円です。年収順に並べた際に真ん中に来る勤務社労士の年収中央値では、男性517万円、女性402万円となります。
◉ 社労士(勤務社労士)年収の平均と中央値
年収の平均値 男性 514万円 女性 434万円
年収の中央値 男性 517万円 女性 402万円
【厚生労働省の賃金構造基本統計調査とは】
全国から無作為に抽出した主要産業の事業所とその雇用労働者を対象に、雇用形態別労働者数・就業形態・勤続年数・労働時間数・給与額等を調査する。
ポイントは、ランダムに対象が選ばれるという点です。そのため、勤務社労士のようにサンプル数が少ない場合に年度によってばらつきが出るので、こちらの社労士年収は参考として捉える必要があります。
◉ 勤務社労士の平均年収
「令和元年賃金構造基本統計調査」における社会保険労務士の年代別の月額給与額と年間賞与、想定される年収はこちらです。
社労士(男性)の年齢別給与と年収
年齢 | 所定内給与額(万円) | 年間賞与その他(万円) | 想定年収(万円) |
---|---|---|---|
30~34歳 | 40.9 | 67.0 | 558 |
35~39歳 | 29.4 | 93.6 | 446 |
40~45歳 | 35.3 | 69.8 | 493 |
45~49歳 | 38.8 | 75.9 | 542 |
60~64歳 | 58.1 | 137.8 | 835 |
70歳~ | 25.0 | 45.0 | 345 |
社労士(女性)の年齢別給与と年収
年齢 | 所定内給与額(万円) | 年間賞与その他(万円) | 想定年収(万円) |
---|---|---|---|
30~34歳 | 18.2 | 60.5 | 279 |
35~39歳 | 30.3 | 90.2 | 454 |
40~45歳 | 31.4 | 60.2 | 437 |
45~49歳 | 28.2 | 63.8 | 402 |
50~54歳 | 28.3 | 157.4 | 497 |
55~59歳 | 29.3 | 191.5 | 543 |
70歳~ | 19.0 | 90.0 | 318 |
全体として平均値と中央値が示すとおり400から500万円ぐらいが多くなっていますが、男性の60〜64歳では800万円越えと高い平均年収もあります。この調査の特徴にも記載しましたが、調査対象は無作為に抽出されますのでばらつきがあります。一般の職種と同様に個人によって差がありますが、現実の社労士年収の平均値と中央値として参考にできます。
❷ 全国社会保険労務士会連合会の調査
社労士連合会に登録社労士の平均年収を知る
全国社会保険労務士会連合会の年収事情調査結果として、平均年収760万円という数字が出ています。社労士会連合会の調査になりますので、基本的に連合会に登録している社労士、つまり社労士として仕事をしている方ということになりますのでこの結果は開業されている社労士が多いと推測されます。
◉ 全国社会保険労務士会連合会に登録している社労士の平均年収
約 760万円
現在は全国社会保険労務士会連合会のウェブサイトに調査結果が掲載されていないため、この平均年収はウェブ上の情報に基づいており調査対象など詳細情報が不明で恐縮ですが、開業されている現役の社労士がメインと思われます。
そのためかどうかわかりませんが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査による勤務社労士の平均年収と比べると高い平均年収となっています。
❸ 十士業における比較ランキング
十士業における社労士年収の水準を知る
ここまで統計調査等から勤務社労士と開業社労士の本音の平均年収について探りました。続いては、より現実的に社労士の年収を知るために他の士業と比べて社労士の年収は相対的に高いのか低いのかをランキング比較してみたいと思います。
なお10士業とは、社会保険労務士、土地家屋調査士、中小企業診断士、行政書士、弁理士、公認会計士、不動産鑑定士、弁護士、司法書士、税理士 の代表的な士業グループになります。
十士業年収ランキング
1. | 弁護士(司法試験予備試験) | 1168万円 |
2. | 公認会計士 | 880万円 |
2. | 税理士 | 880万円 |
4. | 司法書士 | 864万円 |
5. | 中小企業診断士 | 780万円 |
6. | 不動産鑑定士 | 752万円 |
7. | 社会保険労務士 | 640万円 |
7. | 弁理士 | 640万円 |
9. | 土地家屋調査士 | 574万円 |
10. | 行政書士 | 531万円 |
なお、データは、給料BANKより抜粋しましたが、中小企業診断士のみ中小企業診断士協会調査結果参考のコンサル白書に基づいております。
◉ 十士業の中で社労士の平均年収ランキング結果
第7位 640万円
社労士の平均年収は640万円で7位タイという結果になりました。とはいえ、そこは十士業ですから全体として高い平均年収となっています。弁護士や公認会計士には若干差がついたものの、弁理士と同額という結果は社労士年収のポテンシャルの高さを証明しています。
社労士年収の現実について平均年収や中央値、男性と女性の平均年収の傾向、勤務社労士と開業社労士の平均年収の違い、他士業との比較を通じて客観的に調査いたしました。社労士年収の実態についてはご理解を頂けましたでしょうか。
❹ 日本学術振興会科学研究費助成事業の研究データ
開業社労士と勤務社労士の年収の現実を知る
勤務社労士と開業社労士の年収の比較として、日本学術振興会科学研究費助成事業の研究データがあります。2016 年度における個人の収入額(課税前)を確認します。
まず、開業社労士の 2016 年度の個人収入は、「300 万円未満」が最も多く 26.3%です。次に多かったのは「300 万円以上~400 万円未満」で 15.3%。つまり、開業社労士の実に41.6%が年収400万円未満という結果が公表されています。
三番目に多かったのは 「1000 万円以上~3000 万円未満」の 12.6%ということで、目標の年収1,000万円以上を実際に稼いでいる開業社労士は12.6%ということになります。累積%を見ると「400 万円~500 万 円未満」で 53.8%と半数を超えており、個人収入の中央値は 400 万円から 500 万円の間と 見られています。
◉ 開業社労士の年収は両極端
年収1,000万円以上は12.6%、400万円未満は41.6%
年収の中央値は、400万円以上 500万円未満のゾーン
一方で、勤務社労士の 2016 年度の個人収入は、「500 万円以上~600 万円未満」が最も多く 16.7%、次に多かったのは「700 万円以上~800 万円未満」の 15.6%、三番目に多 かったのは「400 万円以上~500 万円未満」の 14.4%となっています。
つまり、企業勤務や公務員等の勤務社労士 の方が、開業社労士よりも平均的にみて個人収入が高い傾向が見受けられます。
◉ 勤務社労士の年収は安定的
年収500万円以上900万円未満が全体の50.1%と過半数
年収の中央値は、600万円以上 700万円未満のゾーン
この結果から、現実的に着実に年収を上げていくには勤務社労士のほうが高確率ということができます。
とはいえ、同データで勤務社労士として1,000万円以上の割合は11.1%と、安定的に年収を稼げる勤務社労士でも年収1,000万円以上は狭き門と言えそうです。一方で、開業社労士はピンからキリまで両極端ではありますが、可能性として年収は青天井といえます。
社労士の年収の現実と実態について、統計や調査データから客観的に平均値と中央値、勤務社労士と開業社労士、男性と女性、いろいろな角度から客観的に比較検証しました。社労士を生業とするにあたってもちろん年収が全てではありませんが、地供する付加価値の対象として基準となるものでもあります。
❶ 厚生労働省の賃金構造基本統計調査
〜勤務社労士の年齢別、男性・女性別の平均値と中央値を知る
❷ 全国社会保険労務士会連合会の調査
〜社労士連合会に登録社労士の平均年収を知る
❸ 十士業における比較ランキング
〜十士業における社労士年収の水準を知る
❹ 日本学術振興会科学研究費助成事業の研究データ
〜開業社労士と勤務社労士の年収の現実を知る
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社労士のスクール・講座の実力が一目瞭然!合格率・合格者数ランキング
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2023年の社労士合格率6.4%、偏差値に換算すると65、過去10年間の偏差値推移は?大学ランクならどこ?旧帝?早慶?司法書士や行政書士など士業や難関資格20資格で偏差値比較も。