ジャズを聴き始めたい方に最初の1曲をご紹介する入門ジャズナビゲーター。今回もアラフィフ世代にお勧めのオシャレで落ち着きがある名曲名演をお届けします。
映画キャバレーで注目された哀愁を帯びた名曲
本日ご紹介するのは、アルトサックスの名曲LEFT ALONE(レフトアローン)です。だいぶん昔ですが、日本では1986年に映画「キャバレー」でご存じの方もいるかもしれません。
空間感のある出だしのフレーズは、ジャズを聴いたことがない方でもどこかで必ず聴いたことがあると思います。それほど有名で印象的な曲ではありますが、決してポップではなく張りつめた緊張感がベースにあります。女性ジャズボーカリストとして有名な、ビリーホリディの伴奏をしていたマルウォルドロンが、彼女亡きあと彼女にささげた曲と言われます。
喪失感と空虚感と
大事な人を失った痛切感を全身で感じることができます。体に染み込んでくる音を浴びて感じてください。マルウォルドロンはピアノ奏者です。印象的なサックスのパートは、ジャッキーマクリーンが吹いています。ジャッキーマクリーンの曲もまたいづれ紹介したいと思います。
ただ、
曲の背景はひとまず忘れて、まずは聴いてみてください。場末のバーでひとりで失った忘れられないひとを思う。そんなシーンが浮かびます。思い出を一つ一つ思い浮かべて、少し心が救われる感じがしても、やっぱり孤独を実感する。
バーボンを飲みながら聴きたい大人の1曲です。
追伸ですが、マルウォルドロンは2002年12月に77歳で死去していますが、その少し前に「100 Gold Fingers」で10人のジャズピアニストの1人として来日した際に、馬車道の関内ホールでの公演に居合わせることができました。味のある演奏とはこういうものだと感じたことを覚えています。
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「LEFT ALONE」(MAL WALDRON)
(レフトアローン)マルウォルドロン
録音:1960年
収録アルバム:「LEFT ALONE」(Bethlehem)
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